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調査依頼 [うちの図書館2013~14年度]

うちの学校のある先生から調査依頼がありました。
地区のPTA会報に郷土の文化財の紹介を載せるコーナーがあるのですが、書いてもらった原稿に矛盾した記述があるので、正しいことがわかりませんか、と。

その原稿を書いたのも、うちの学校の先生なのですが、どうも、ネットの情報を元にしていることが分かりました。
内容は、こちらの殿様の菩提寺になっていたお寺について。
矛盾点とは、「お寺が建てられたのが1689年」「山門ができたのが1669年」となっていること。
なぜ、お寺よりも山門が先なのか?と、文書回覧中に教頭先生が疑問を持ち、担当の先生から私の方に話が回ってきたのでした。

私は、図書館の本で調べてみます、と答えましたが、木曜の放課後の遅い時間だったので、まずは、自宅にある本からスタート。
地元の市史を真っ先に調べましたが、1669年、殿様がこちらに転封されたときにできた、と言う記述。
1669年か、1689年か。
さらに『角川地名大辞典』『長崎県の地名(平凡社)』で調べると、どうも1669年の方が正しいようでした。
2冊の記述を読み進めると、山門は1690年に作られたことや、お寺は移転したらしいことがわかりました。
これはおもしろい!と思いつつ、自宅で調べられたのはそこまで。

きのう、さっそく1校時目に図書館に行って、他の文献を探しました。
自宅で見た3冊は、いずれも所蔵していたので、該当ページをコピー。
郷土史家が書かれた本を何冊かチェックしましたが、なかなか記載されているものが見つかりませんでした。『長崎県大百科事典』には記載があったので、これも該当ページをコピー。
これらを照らし合わせて考えました。

わかったことをまとめると、
1.お寺は、1669年、殿様が転封されたのと同時に現在地とは別の場所に建てられた。
  場所は古地図で確認できました。
2.現在の場所には、1690年に、殿様が母の菩提を弔うためにお寺を建て、その時の山門が残っている。
3.お寺は、現在の場所に1875年に移転した。
ということになります。

あー、すっきりした。
でも、矛盾した記述の元になったのは、市のHPや観光業者のHPなのです。
ネットの情報の不正確さと、うちの蔵書でしっかり調べられることがよくわかりました。

さらに、お寺のHPの記述や、入口に立っている案内板をよく読んでみると、間違いが。
HPと案内板に共通した間違いは、殿様の出身地のお寺の開山について。
今川氏滅亡後の享禄元年(1528年)」に開山したとありますが、桶狭間の戦いが「1560年」…。
  (殿様の出身地のHPには「1523年」に開山されたとあります)
HPだけの記述の間違いは、「元禄2年(1689年)に宇都宮」に転封→正しくは、「寛延2(1749)年」。
案内板の記述の間違いは、今川氏の領地が「駿河、近江、三河」→正しくは、「駿河、遠江、三河」。

何よりも、(この名前の)お寺はもともと別の場所にあった、という記述がどちらにもはっきり書かれていません。
私も、このことは今回初めて知りました…。
古地図も今まで何度も見ていたのに気がつかなかったという…。
まさに「目から鱗」で、楽しめた調査でした。


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